【試し読み】この中にいるっ!?: ~目が覚めたら事後でした!? 相手候補は一緒に飲んだ三人です!

この中にいるっ!?: ~目が覚めたら事後でした!? 相手候補は一緒に飲んだ三人です!

夕暮れ寮シリーズ

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 気だるさと、うざったい頭痛に目を覚まし、俺は身体を起こした。昨日は同期のメンツと酒を飲んで寝てしまったはずで、寮の硬い床で寝てしまったから、そのせいで身体が痛いのだと思っていた。
「う……」
 カーテンの隙間から青白い光がこぼれている。まだ早朝らしい気配に、痛む頭を押さえながら起き上がった。同時に、太腿を何かトロリとした感覚が滑っていく。
「っ、え? なに?」
 ぬるりとする感触に、顔をしかめる。夢精したのかと一瞬思ったが、尻からぬとっと溢れる感触に、ゾクッと背筋が粟立った。
(え?)
 半ばパニックになって自分の状況を確認してみれば、着ていたはずの服は殆ど脱げかけていて、足首の方に引っ掛かっている。シャツも、片袖が完全に脱げていた。
「っ!?」
 皮膚に無数に残る、痕跡。腹の上に乾いた精液。誰がどうみても『事後』で、筋肉の痛みが何があったのかを悠然と語っている。
(え、俺……?)
 そこに来て、俺はようやく部屋の惨状に気がついた。床に転がった空き缶と、折り畳みテーブルの上に置かれた飲みかけのグラス。ピザの空き箱とポテトチップスの袋――は、まだ中身が入っている。それに、床に転がる三人の男。
 同じ『夕暮れ寮』に住む住人である、同期の仲間たち。そのうちの、三人だ。昨晩飲み開かし、そのまま眠りこけたらしい。
「――」
 俺は慌ててシャツの前を合わせ、青い顔で三人を見下ろす。
 立花(たちばな)碧(みどり)。羽鳥(はとり)壮一郎(そういちろう)。栗原(くりはら)風馬(ふうま)。
 この中に、俺を犯したヤツがいる。

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