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血の契約と十字架

著者:藍沢天

発売日:2025年10月01日

戦火に焼かれ、吸血鬼ディスティオルに支配された廃墟の街。この街で唯一残った教会の祈祷師ルティルスは、恐怖に怯える人々を救うため、自らの血を捧げることを決意する。

ディスティオルは、ルティルスの愚直な申し出を嘲笑しながらも、彼を「血の獲物」として受け入れる。毎夜繰り返される、支配と献身の儀式。ルティルスは自らの信仰を、ディスティオルは自身の存在を、互いの魂をかけた駆け引きの中で揺さぶられていく。

「お前は信仰に縋るふりをして、俺に縋っている」と嘲るディスティオル。
「それでも、私はあなたを救いたいのです」と祈るルティルス。

しかし、二人の関係は、次第に捕食と被食者の関係を超え、抗えない渇望へと変貌していく。
軍の侵攻により街が炎に包まれる中、ディスティオルはルティルスを喰らい尽くそうとするが、彼の献身と血の甘美さに、初めて「喪失」の恐怖を覚える。

滅びゆく世界で、二人は救済と破滅の境界をさまよいながら、互いの魂を繋ぎ止める。


「信仰と渇望が交錯する、終末の愛。―――この血は、救いか、呪いか。」

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