【試し読み】犬猿な仲のアイツとエッチなボドゲであんなことにも
社内ヤリ部屋はいつも満室:2

犬猿な仲のアイツとエッチなボドゲであんなことにも<br>
社内ヤリ部屋はいつも満室:2

社内ヤリ部屋はいつも満室シリーズ

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(っ……なんでこんなことに……っ)
 播磨はりま伊月いつきは、思わず「くっ」とうめいた。恨めしげに、身体にのしかかって、全身を愛撫する山城やましろ浩紀ひろきを、ギッとにらみつける。
 身体をよじって逃れようとするが、山城の身体を退かすことが出来なくて歯がみする。
「……そうやって、にらみつけるの、結構クるな」
 はは、と笑いながら、浩紀は伊月の首筋にちゅっとキスを落とす。
「っっっっ!!!」
「それ……わざとやってんの? ……煽ってるようにしか見えないんだけど」
 浩紀の言葉の意味が、わからない。伊月は「だからっっ!!! なんでこんな……」と抗議の言葉を口にたところを、唇で塞がれる。
「んぅっ…………んっ……っ」
(はぁっ、なんで、こんなやつとキスを…………っ!?)
 伊月は半ばパニックになりかけていたが、呼気を求めてすこし開いた唇を、浩紀は見逃さなかった。
「んぅっっっ!!!」
 浩紀の舌が、伊月の唇を割って侵入してくる。その舌は淫猥に口腔内を好き勝手になで回し、逃げ回っていた伊月の舌を捕らえて、絡ませた。
「っっっ~っっっっ!!!」
 嫌悪感と得体の知れない快感に、腰が、ざわざわする。
 角度を変えながら何度も繰り返されるキスに、伊月が、ぼうっとして来たところで、やっと、唇が離れた。粘度の高い唾液が、つ……っ、と二人の間を繋ぐ。
「まあ、せっかくの機会なんだから、楽しもうぜ……お前も、まんざらでもないみたいだし♥」
 浩紀の手が、するり、と伊月の股間に伸びた。
「っっっ!!!」
 そこは、すでに硬く張り詰めていて、全身の血液が集中している。
「……勿論、俺も、かなり興奮してるけど♥」
 服の上から、やんわりと揉まれて、伊月の喉が跳ね上がる。
「っう…………んっっ…………っ♥」
「結構、カワイイ顔と声じゃん――お前相手に勃つ日が来るとは思わなかったが……結構、悪くないな」
 もう一度キスをしながら、浩紀は伊月の股間を揉み続けている。
(あっ……くそっ……なんで、こんな、好き勝手なことを……っっっ!! これも、全部、あのゲームのせいだっっっ)
 伊月の視界の端に、ボードゲームのカードが散らばっているのが見える。
 それはほんの十分前まで、伊月と浩紀が遊んでいたボードゲームだった。
「……さ、【王様命令】使わせて貰うぜ♥ 勿論、最後まで♥」
 その言葉に伊月はぎり、と唇を噛みしめる。
(くそっ……こんなゲームだってわかっていたら……)
 プレイなんかしなかったのに。伊月は、なすすべなく浩紀に脱がされていくのに抵抗も出来ず、ただ、甘い声を漏らし続けていた……。



  ◇◇◇



「あのさ、この間も指摘したと思うんだけど、なんで決められたルート外で作業してるわけ?」
 定例ミーティングの席上で、播磨伊月は資料を指さしながら、向かいに座る山城浩紀に淡々と問う。
 浩紀は「えー、言われたっけ?」とヘラッと笑う。片頬が上がっているのを伊月は見逃さなかった。
(こいつ、わざとだな……)
「言ったよ。議事録確認して」
「だとしても!」
 と浩紀は、伊月の語尾にかぶせ気味に言う。「結果として、播磨が想定したルートと金額より、数字は上げてるでしょ? そっちのほうが大事じゃない?」
「俺とか、従来のやり方が古くさくてやってらんないって話なら、別途にしてくれないかな。こっちは、想定するルートを守らなかったおかげで、後処理に時間を取られた。お前がやらない分、誰かが泥をかぶってるって事だよ」
「えー、でも、俺がやるより、そいつがやった方が速いよね。俺がやったら、多分終わってない」
「だから!」
 思わず声を荒らげそうになって、伊月は、一度深呼吸した。
「――決められた手順は守れって話が、今の、アジェンダ。山城の言ってるのは、手順はどうでも良いから結果が全てって話。これは全然、会話になってない。いつも思うんだけどお気持ちで論点ずらすの止めて貰えないかな」
「はー、そっちこそ、手順、ルール、マニュアルが全てって顔で! いつもいつも、手順手順!!! そんなこと言ってたらチャンスが潰れる場合があるってわかんないのか?」
「それは理解するが、その場合でも、緊急対応と言うことで必要な手続きはリカバリ出来るだろ」
 二人の間でバチバチと火花が散る。見かねて中に入ったのは、同僚の三河健司だった。
「まあまあ、二人とも、不必要にバチバチすんなよ!」
「俺は当然の主張をしている」
「俺も別にバチバチしてるつもりはないですよ」
 なおもにらみ合いになる二人にため息を吐きつつ、「そういや、播磨。お前さ、新規の会社さん契約決まりそうなんだって?」と三河は話題を変えるように言う。
「ああ、ありがたいことに、決まりそうだよ」
「さすが播磨だな。頑張って。何かあったら俺も手伝うよ。とはいえ、お前を手伝うってことはないと……」
 思うけど、と三河が言おうとした時だった。
「――……あのさ、播磨」
 いくらか声のトーンを落として、浩紀が割って入ってきた。
「え、ナニ?」
 なんとなく苛ついて、自然に声にトゲが出る。
「あー……ナニっていうか、その、その新規取引先、ちゃんとウラ取った?」
「え? 勿論取るけど。社内の決められた手続きに則って――そこは、お前と違って」
「また『規則』かよ。ホントにお前、好きだなぁ、『規則』。まあ、いいや、そっちがそういう感じなら。じゃ」
 あきれたようにため息を吐きながら、浩紀は自席へ戻っていった。
「はぁ? 何だよアレ」
 またイラっと来る。
(本当に、アイツは、イラつかせることについては天下一品だな)
 そう思いつつも、気持ちを切り替えて、伊月は「じゃ、何かあったらよろしくお願いします」と三河に返事をした。

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